Mendokusai Lab.

仕事や自分に起こったことなど、気になったことを、メンドクサイ感じで書き殴るブログです。

自己開示の効用

f:id:hiro_nakatsu:20210220193101p:plain
https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=2221472

今週のお題「告白します」

放送大学の科目「社会心理学」は森津太子教授が主任講師の講義でした。でした、と言っているのは、2020年からカリキュラムが新しくなり、「社会・集団・家族心理学」というタイトルになったからです。主任講師は同じく森津太子教授です。

www.amazon.co.jp


私がこの講義を受講したのは2018年の第2学期です。ラジオ放送だったのですが、第2回から第14回まで、社会心理学における主要なテーマに関係する書籍を1冊ずつ紹介するという講義スタイルでした*1。その書籍が学術書ではなく、一般書であるというのも特徴です。もちろん著者は心理学者なので、ものすごくわかりやすいかというとそうでもないんだろうなとは思います。

この「社会心理学」の第11回講義で取り上げられていたのが、ペネベーカー著「オープニングアップ:秘密の告白と心身の健康」です。
www.amazon.co.jp

また例によって、未読書籍の紹介で大変心苦しいのですが…*2

この書籍によると、過去のトラウマ経験を開示することは、心身を健康にする、というのです。

社会心理学」によると、書籍「オープニングアップ」で取り上げられている研究やそれに追随する研究により、開示がもたらす効果が明らかになってきており、大きく4つの領域で確認されているとのことです。かいつまんで紹介します。

感情への効果

トラウマ体験の開示は、短期的には動揺を強めるネガティブな効果を及ぼしますが、数カ月後には安堵感や満足感、幸福感などが高まる効果を示すそうです。

認知への効果

認知の数ヶ月後には、ストレス経験に対して「わかった」「理解した」「解決した」という洞察が新たに生じるようです。

身体的健康への効果

免疫機能の改善を示す指標や、免疫に関連する慢性疾患(リューマチなど)の病状に対して、改善効果をもたらすことが示されているようです。

社会生活への効果

大学生の学業成績、失業者の再就職率などに対し、開示によるプラスの効果が示されているそうです。

このあたりは、個人差があるはずですし、トラウマ体験の内容にも依存するのではという気がします。また、どのように開示するか、開示したあとどのようにフォローするか、といった要素も当然考慮すべきでしょう。素人が「トラウマは開示すると健康になれるよ」と安直に押し付けることはやめたほうがいい、ということは間違いなく言えるかと私は思います。

ふと思いついたのは、実はこういう、自己開示にはポジティブな効用があることは以前から知られていたのかなということです。教会に懺悔室があるのがそれかなぁ、と思います。

*1:現在の講座、「社会・集団・家族心理学」は、テレビ放送で、同じスタイルはとっていないようです。以前の講義はとても面白かったので、紹介しても受講できないのが残念ですが、森教授の授業は親しみやすいイメージがあります。今の講義もたぶん楽しいのではないかと思います。テレビだからわかりやすいでしょうし。

*2:あっ、これも告白…