Mendokusai Lab.

仕事や自分に起こったことなど、気になったことを、メンドクサイ感じで書き殴るブログです。

Future Work Studioに参加してきたよ

「働き方の未来をデザインする」ことをテーマに、研究者と実務家が知を持ちより、未来の働き方について考えるコミュニティ、Future Work Studio

「チームレジリエンス 困難と不確実性に強いチームのつくり方」の共著者である、筑波大学 ビジネスサイエンス系 助教池田めぐみさん、そして九州大学ビジネススクール ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センター 准教授の松井克文さんが主催されるこのコミュニティ。12月4日に東京大学 情報学環・福武ホールで開催された、記念すべき第1回:「複業のホントのところ」に参加してきました。

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いやあ、本当に面白かったです。単なる講義ではなく、実際にマルチなキャリアを築かれているゲストの方々の生の声を聞きながら、参加者全員で「これからの働き方」を深掘りしていく形式だったこともあり、参加カンがあったのが良かったですね。刺激と充実感が得られる一時でした。

アカデミアから越境した2人のゲスト

お二人のゲストのお話を伺いながら進める形式だった今回の企画。

お一人目は、IT企業の教育部門で契約社員として産学連携のサポートをしつつ、スタートアップ企業のプロモーション、NPO法人でファンドレイジングのサポート、社団法人で新しい教育理念の幼稚園(めちゃめちゃ新しかったです)の立ち上げといった領域で活動をされているAさん。

お二人目は、研究者のスタートアップ専門の制作会社を経営されているBさん。もともとは電気電子工学を学び、ヒューマンコンピュータインタラクション、人とコンピュータの相互作用という分野で研究をされていたバックグラウンドを持ちながら、現在は研究者の活動を映像コンテンツ制作やウェブサイト作成支援という形で世の中に広める活動をされている方です。

実はお一人目の方もアカデミックなバックグラウンドがおありで、研究というフィールドからはみ出て、企業内、あるいは起業家として活躍されているという共通点をお持ちのお二方でした。

複業で「レーダーチャート」を満たす

ここからは私が興味関心を持った話をいくつかピックアップしていきます。

最初は、複業でレーダーチャートを満たすというAさんの話。イメージ的には、口コミ企業評価サイトのあれでしょうかね。私はそれかなと思っているのですが、そこには、「収入・待遇」「成長」「働きがい」「社会貢献」など、働き手が企業や仕事に求める価値が示されています。このレーダーチャートで、全ての項目を高得点にするのは難しい。ですが、例えばある会社では収入を重視する。他の会社で働きがいを、こちらでは社会貢献を、というように、レーダーチャートの項目を一つずつ、複業で埋めていくことができるようになっている。自分の多様な欲求を多角的に満たすための手段が複業なのでは、という話でした。

私はこれを聞きながら、エドガー・シャインが提唱した「キャリア・アンカー」を思い浮かべました。人によって何が大事な価値観なのか、何を重視するのかは異なりますが、これまでの働き方では重視する項目のうち満たせる項目とそうでない項目が出るのはやむを得ない環境だった。それが、複業で変わってきているということなのだろう、働くことを通じての自己実現が多くの人に可能になりつつあるのかな、と感じました。

使命感とワクワク感

Bさんの会社では研究者のスタートアップ専門に制作を行っているのですが、「研究者を助ける」のは収益的には本当に厳しいそうです。博士課程に所属しながら事業をされていたので、奨学金も借りれるものは全て借りるなど、資金面では相当苦労されたそうです。それでも研究者を助けなきゃという思いで取り組まれた。それは、世の中には本当に面白い研究がたくさんあって、それを少しでも多くの方に知ってもらう。そんな使命感から取り組まれていたとのことでした。

これに、私と同じテーブルの方(IT企業の採用ご担当)から質問がありました。使命感だけで長年(5年間!)赤字経営をするのは難しいのでは、「やるべき」だけでなく「やりたい」という思いもあったのか?というご質問に、Bさんからの答えは「誰も取り組んでいないことで、これが広がっていったらすごいなというワクワク感があった」というもの。長期の行動力を支えるのは、やはり楽しむ心が大事、ということなのかもしれないなと感じました。

複業キャリアの2つの軸

私がいたテーブルには先ほどのIT系企業の方と、中小企業でデータプランナーをされつつ社内でいろいろ兼務されている方がいらっしゃって、グループでの議論も盛り上がりました。一つ非常に面白かったのは、複業キャリアのあり方という話。例えば新卒で入った方は数年働くと自社内の仕事は覚えてできるようになってきたが、世の中で通用するのかはわからない。そこで外で働いてみて、ちゃんと通用することを確認できる。このように成長実感を得るための複業がある。一方で、社内にいるとある程度経営方針で携わる領域が決まってしまう。でも自分はもっと他の領域でも成長したい。自分のさらなる成長、特に領域を広げる成長を求めて複業するという考え方もありそう、という話になりました。

企業が管理する際に留意すること

医療系の参加者からの質問は、バランスの話でした。科研費には「エフォート」というのがあるそうで、その合計が100を超えて150とかになっちゃう。そうすると回らなくなる。タスク管理とかそのあたりどうしているのか、とのことでした。これに対するBさんの答えが、経営者の立場なので、自分が暇をつくる。管理だけをしている状況をつくる、それによって、ステークホルダーへの責任を果たせるようにしているというもので、非常に興味深かったです。まさにプレイングマネージャーを脱却しようという話ですね。

管理する企業側としては、従業員の勤務管理の課題感は強いようで、私も自社の事例を少し情報提供しました。私の勤務先は複業を普通に容認していて、私は休暇とかで対応していますが、恒常的に8割(週4日)勤務とか時短勤務とかで働いている方がいます。複業を始めるのに本業フルタイムを希望していた方にも、実際の稼働想定(平日の複業稼働が想定されていたので)を伺って、稼働割合を設定するようにしたという事例もあります。流石に労働時間を合算して管理することはしていないのですが、従業員が複業をしていることを把握して、適正な労働時間になるよう把握するということをやっている会社だ、ということをお話ししました。こういった取り組みは今後必要になってくるのかもしれません。

企業スタンスのこれから

そして、企業としては、正社員として雇用している以上、やはり本業で価値を出してほしい。複業容認されていたとしても、主業務すべてだろ、というような空気があったりする。そこをどう乗り越えていくべきなのか?という非常によくある問い。Aさんからのコメントとしては、会社としても従業員が複業やってるといいことがあるんだ、ということが伝わっていく必要があるのではないか、ということでした。

ここは私のグループでも盛り上がったところでしたね。企業としてのメリットは大きく2つあるんだろうなと思います。

1つは、まさに社外での経験が自社に還元されていくこと。社内にいるだけでは得られない得がたい経験を、従業員が副業で積んでくることで、その従業員が成長する。それは、最終的に本業の企業活動に還元されるという関係にあるはず。これが、企業自身を成長させていくのではないか。そのためには、外で新しい経験を積んで、自社に還元することを歓迎する。むしろ積極的に、外の空気を伝えてくれる存在として、組織がそこから学ぶ。そういう姿勢が大事なのでは、ということです。

もう1つは、まさに複業を推奨することがこれからの人材確保の鍵になるという話です。Z世代など、新しい価値観を持つ方々に対して、「うちの会社にだけエンゲージメントを持て」という旧来型のマネジメントはすでに通用しなくなっているのが実情なのでは。経験の幅を広げ、「外に出ていい経験をしておいで、Welcomeだよ」と推奨する姿勢が、むしろ優秀な人材を惹きつける鍵となるのではないかという話になりました。「しばらく休んで武者修行に行ってきます」という一時離脱もあっていいでしょうし(そういえば私の勤務先は新卒入社社員が3年目くらいで社外の企業や法人に出向します)、極端な話、一度離職してまた戻ってくることも容認する。そうやって、外で経験を積んだ人が戻ってきて活躍する「循環」を作れる企業こそが、これから強くなっていくのでは。そういう企業が生き残っていくのでは、という話も出ました。

10年後の働き方:「個人」と「チーム」の融合

これから10年の働き方の展望についても触れられました。Bさんは、AIやテクノロジーの進化により、特に都市部で働く人は、個人でレバレッジを効かせる働き方がブーストされるのではないか。ますます今後複業が盛んになるのではないか。そうコメントされました。

私はそれを聞きながら、斎藤徹さんが「そして僕たちは、組織を進化させていく」で説く、AIと共鳴するタイニーチームが待っているのかなと感じました。個人でやれることも多くなり、個人でやれる人も増えてくるけれども、一人ではできないことも存在する。そこで、高いスキルを持つ個人同士が連携したタイニーチームが動くのではないか。個人とタイニーチームを往還する働き方が増えてくるのかもしれないな、ということを考えました。

非常に刺激になる場だったので、ついつい長文になってしまいました。私自身、複業と言えるほどの規模ではありませんが本業以外でも収入を得ています。これからの自分の働き方について、使命感とワクワク感をもって進めていきたいな、と感じた日でした。